Tシャツの歴史
普段何気なく着ているTシャツは何処で生まれ、どんな歴史を作ってきたのでしょうか。
第一次世界大戦当時、アメリカ兵に支給されていたのは重くて厚いウール素材の制服でした。一方、ヨーロッパの兵士たちは綿素材のアンダーウェアを着用して、夏を快適に過ごしていました。このアンダーウェアを真似て、アメリカ兵が作ってみた綿シャツがTシャツの原型になりました。ウールとは比較にならない快適さに驚いた兵士たちはこのシャツを制服のひとつに採用してくれるよう、上層部へ提案しました。上層部もこれにOKし、軍服として正式に認められることになったのが始まりです。1920年代になると、「T Shirts」という言葉がMerriam-Webster's Dictionaryに収載され、アメリカ英語言語の公用語として認知されました。第二次世界大戦ではアメリカ陸海軍の標準アンダーウェアとしてTシャツが取り入れられるようになりました。
この当時はまだTシャツを着て遊ぼうと言うかんがえは無かったのですね。
アメリカ映画界のセレブたち、ジョン・ウェイン、マーロン・ブランド、ジェームス・ディーンらが、アメリカ国民に衝撃を与えたのもこの頃になります。1951年の映画「欲望という名の電車」(A Streetcar Named Desire)では破れたTシャツ姿で裸の胸をさらけ出すファッションで登場するマーロン・ブランドが、1955年の「理由なき反抗」(Rebel Without A Cause)ではジェームス・ディーンが真っ白のTシャツをカッコよく着こなしているシーンがあります。ジェームス・ディーン演じる主人公のジムが、Tシャツの袖にタバコの箱を挟むところは印象的なシーンです。オトナたちはアンダーウェア(下着)のまま登場してけしからんと感じ、コドモたちはそれを反抗と若さの象徴だと感じていました。
この頃と今とではオリジナルTシャツのアイテムは違いますが、格好良さに対する気持ちは変わりませんね。
1960年代になると、染料やシルクスクリーン印刷技術が用いられるようになり、シンプルだった綿Tシャツにデザインが施されるようになってきました。タイダイのような斬新な染色方法は今も愛されています。また、タンクトップやVネックなど、シャツの形状にバリエーションが生まれたのもこの頃になります。長期化するベトナム戦争に出兵する兵士のユニフォームとなる一方、ウッドストックに代表されるヒッピー文化の象徴としてもTシャツが使われるようになりました。 このころから誰でも着れるオリジナルTシャツがではじめたのかもしれません。 (ロックバンドTシャツやスポーツチームTシャツが生まれた背景には、ライセンスを受けたデザインTシャツが多大な利益を生み出すという大きな要因がありました)
1980年代以降もTシャツは進化を続け、さまざまなデザインプリントを施されてアパレル産業の中心的アイテムとなり、そして現在、Tシャツはそのシンプルさゆえに年齢や性別を問わず、世界中の人々に愛されているのです。シンプルさゆえに、服飾という枠を超え、メッセージを伝えるキャンバスとして、アートを展開し続けています。
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最終更新日:2019/7/3